46.太陽風は、人工衛星や探査機でどのくらい観測されているの?

47.太陽の近くを観測する工夫は?

 太陽風はどうしてそんなに速いのか・・・これは、まだ解決されていない難問です。この問題を解明するためには、太陽風が実際に加速されている所に行って、観測をするのが一番でしょう。しかし、太陽風が加速している場所は、太陽からほんの数百万 km(太陽の半径の数倍)しか離れていません。探査機が近づくためには、太陽からの強力な光のエネルギーに耐える必要があります。

 皆さんは、日差しが強いときどうしますか? 帽子をかぶる、日焼け止めクリームを塗る、木陰で休む、日傘をさすなど、いろいろな方法が思い浮かびますね。「探査機が日傘をさせばいいんじゃないかな?」と、NASAの科学者達も同じようなことを考えました。この日傘をさした探査機、ソーラープローブ(直訳すると「太陽の探査針」)を打ち上げるための研究が、NASAで始まっています。ソーラープローブは、太陽から280万 km(太陽半径の4倍)の距離まで接近し、日傘のはしから太陽をのぞいて、太陽や太陽風の様子を詳しく調べます。太陽半径の4倍といえば、太陽風がまさに加速されている領域。未だ謎の多いコロナ加熱や太陽風加速のメカニズムについて、重要な手がかりが得られることでしょう。

 地球や惑星・彗星を調べるために、これまでたくさんの人工衛星や探査機が打ち上げられてきました。これらの探査機により、太陽風の観測範囲は、近くは水星軌道の内側から、遠くは海王星の外側まで広がっています。

 ところが、探査機では観測が難しい場所があります。その1つは太陽のごく近く。探査機が太陽に近づいていくと、その膨大なエネルギーのために壊れてしまうからです。そして2つめは、惑星の公転面から高く離れた、緯度の高い領域です。探査機は、地球の自転と公転運動の勢いを利用して打ち上げますので、地球の公転面から大きく抜け出すのは難しいのです。

 唯一、高緯度の太陽風を観測したのは、ヨーロッパの国々とアメリカが協力して打ち上げた、ユリシーズという探査機です。ユリシーズは、木星の重力を利用して黄道面から脱出し、太陽のまわりを5年かけて極軌道を1周しました。この観測により、高緯度の太陽風が初めて直接観測されたのです。でも、全体像を調べるには、1機だけの観測ではまだまだ不十分です。なぜなら、探査機が1周する間に、太陽風も姿を変えてしまうからです。太陽風の全体像を調べるには、太陽のまわりを多くの探査機でとりまいて観測するか、まったく別の方法を考える必要があります。