33.太陽風は目で見ることはできないの?

 太陽風を直接見ることはできません。目の前にある空気が見えないのと同じ理由です。「もの」が目に見えるためには、その「もの」が光を出したり、反射したりしなければなりません。太陽風は高温ですが、密度が非常に薄いために自分から光を出しませんし、太陽からの光は素通りしてしまいます。ですから、私たちの目で直接太陽風を見ることはできません。これが、探査機が打ち上げられるまで太陽風が見つからなかった、もう1つの理由です。

 風の強い日を思い浮かべて下さい。どんなに強い風が吹こうと、空気はけっして目では見えません。でも、吹き飛ばされた葉っぱを見ると、部屋の中からでも、風がどちらの向きにどれくらいの強さで吹いているのか、何となく分ります。

 太陽風の場合も、天体望遠鏡を使って間接的に、その流れを目で見ることができます。これには、彗星の尾に見られる面白い現象を利用します。彗星の尾をよくみると、通常2つに分かれています。2つの尾のうち1つは、白っぽく光る曲がった尾で、太陽の光の圧力でたなびいています。もう1つは、この白っぽい尾より暗く青みがかった光を出しながら、まっすぐにのびる尾。こちらは、太陽風によって吹き流されたものです。この青みがかった尾を根気よく観察していると、ときおりこぶのようなものができて、それが時間と共に移動して行くのが分ります。場合によっては、尾が途中でちぎれて、後ろに飛んでゆくこともあります。この移動は、太陽風の流れが引き起こしているのです。このような彗星の尾の観測から、太陽風の速度をはかることができます。


 2種類の彗星のしっぽ


太陽風に吹き流される彗星の尾。太陽は写真下方にあり、彗星尾部の右側にある塊は太陽風に引きちぎられた尾の一部で、太陽風の流れに沿って移動している(矢印は編集部により追加)。