49.なぜオーロラの研究をするの?

 オーロラは、太陽と地球の関係を表わす一つの現象にすぎません。音もなく現れ、色や形が変化し、空一面を動きまわるこの不思議な光の舞いは、私たちの知的好奇心をかき立てます。
 
「なぜ?」に発する、人間の知的好奇心は、あらゆる科学の原点です。好奇心あふれる人間は、この不思議な光を注意深く観察し、多くの規則性を発見してきました。夜の光なのに、原因が太陽にあることも突きとめました。18−19世紀のヨーロッパでのオーロラ研究は、そのまま電磁気学の誕生と発展の歴史です。
 
ちょっと身の回りを見て下さい。私たちが日常使っている製品で、電磁気学という学問のおかげで出来上がったものが数多くあることに気づくでしょう。家庭やオフィスにある電灯、テレビ、ラジオ、ステレオ、電話、ファクス、パソコン…。不思議な自然現象を解明しようとして始まる研究の成果は、色々な方面へ応用されるのです。

 「何のために、オーロラの研究をしているのですか」とよく質問されます。私なら、「太陽と地球の関係を知るためです。宇宙での人間の立場を知るためです」と答えます。惑星地球号の住民が、自分たちの地球のことや地球の周りのことを知りたいのは、当たり前のことです。オーロラは、その目的に向う1つの手段にしかすぎません。ですから、太陽と地球の関係を知るために、他の手段で研究をしている人が、世界中にたくさんいます。ちなみに、「オーロラはどのように光るか」だけを研究している人は、世界中に1人もいません。
 
オーロラの科学は、宇宙科学の一部です。人工衛星と地上からの観測が、研究の主な手段です。観測は室内実験と違って、太陽活動や惑星間空間の条件を整えた上で行うことはできません。与えられたものを、データとして受け入れるより方法はありません。