シュペーラー極小期の太陽活動の研究

 宇宙線が地球大気中で核反応することにより生成される放射性炭素(炭素14)は, 二酸化炭素として大気圏を循環し,その一部は生物に取り込まれる。年輪などの生物 試料中の炭素14濃度を測定すれば,過去の炭素14が取り込まれた時期の宇宙線強度 や,これを制御している太陽活動の様子を知ることができる。

 マウンダー極小期(1640-1715年頃)には太陽黒点数が極端に少なく,太陽活動が 低下していたものと思われる。またこの時期は地球全体が寒冷期にあったといわれて いる。ロシアのコチャロフらは,この時期の年輪中の炭素14濃度を精密に測定し,通 常の11年周期に対して,マウンダー極小期の太陽活動が22年周期であったと報告して いる。我々は,このような気候と太陽活動の関連を調べるために,やはり同じように 気候が寒冷化したといわれているシュペーラー極小期(1410-1540年頃)の炭素14濃 度の測定を計画し,液体シンチレ―ション法と加速器質量分析法による高精度での炭 素14濃度の測定準備を行ってきた。

 これまでに,樹齢700年余りの屋久杉試料を用いて,シュペーラー極小期とその前 後を含む140年分の年輪を1年毎に切り出し,化学的な前処理によりセルロースを抽 出後,ベンゼン合成を行った。ワラック社の放射性炭素計測装置(クワンタラス)を 用いてベンゼン試料の炭素14濃度を測定した。また一部のセルロース試料をグラファ イトに変換し,加速器質量分析計で炭素14濃度を測定した。予備的な結果を図に示 す。このデータの解析は,シュペーラー極小期の炭素14濃度にも20年程度の周期成分 があることを示唆している。今後も測定を継続し,高精度化を目指す。本研究は環境 学研究科,年代測定総合研究センターとの共同研究で実施されている。




屋久杉年輪中の炭素14濃度の変化(予備的な結果)
(図をクリックすれば、大きな図が得られます。)



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