研究テーマ

このページでは、松見研究室の研究テーマや研究内容の詳細を簡単に紹介しています。詳しい内容(専門的)は、リンクのページにある研究紹介欄およびpublication listをご覧ください。

1    研究テーマ
更新日時:
2012/06/16 
1.地球温暖化、成層圏オゾン破壊、酸性雨など、大気の環境問題に関わる物理・化学過程を、レーザーなどを用いた新しい実験手法で解明する。
 
2.大気の微量気体成分や微粒子(エアロゾル)の化学組成や光学特性を、高感度に分析する新しい測定装置を開発し、室内実験や実大気観測に応用する。

2    「キーワード」
更新日時:
2011/06/02 
 松見研の研究内容に関わるキーワードには、次のようなものがあります。
 大気化学、環境変動(地球温暖化、酸性雨、成層圏オゾン、黄砂、越境汚染、光化学オキシダント)、新しい計測装置の開発、レーザー応用、分光学、物理化学、化学反応論、大気微量成分(オゾン、窒素酸化物、硫黄酸化物、二酸化炭素、二酸化炭素同位体)、エアロゾル(ブラックカーボン、有機エアロゾル、無機塩、鉱物粒子)など。

3    研究内容
更新日時:
2011/06/03 
 私たちの研究室では、レーザー光を使って大気を調べる研究を行っています。地表付近から中間圏とよばれる領域まで、大気の化学的な諸過程を、太陽地球系システムの一つとして理解することを目指しています。レーザー光は、2つの用途で用いています。一つは、レーザー光の光エネルギーを利用して、大気中の化学反応を実験室の中で再現して調べる研究、もう一つは、レーザー光を計測手段として利用することで大気中の微量成分や微粒子を測定する研究です。
 地球の大気は、窒素や酸素に加えて、それらに比べると非常に濃度の薄い、水蒸気やオゾンなどの微量成分から構成されています。成層圏のオゾンは、主成分である酸素分子が太陽紫外線によって光化学反応を起こした結果、生成されます。成層圏オゾン層は、太陽からの紫外線を吸収してくれるので、地上の生物を守る働きをしてくれます。他方、植物の光合成や火山噴火などの自然の現象や、人間の活動などによって、地球の大気中へと放出された種々の気体は、大気中での化学反応を経て、比較的安定な化合物となって大気中に蓄積していきます。地球の誕生は、約46億年前。その後、極めて長い時間をかけながら、今のような大気の組成になりました。そこには大気の性質を決めるメカニズム、つまり、複雑かつ微妙なバランスで進行している化学反応が重要な役割を果たしています。そのため、たとえば人間活動による種々の微量気体の放出量が変化すると、それに伴って微量気体の成分や蓄積濃度が変動します。この変動は、太陽光の紫外線吸収や地球からの夜間赤外放射などに変化をもたらし、オゾン層破壊や地球温暖化のような地球規模での環境変動を誘発します。また、有害物質の大気化学反応により、酸性雨や光化学オキシダントのような地域的な環境汚染を引き起こしたりします。
 
@室内実験による大気化学反応過程の研究
 私たちは、このような大気反応が実際にどのようなメカニズムで進行しているのかを明らかにするために、反応の一つ一つ(素反応といいます)を詳細に調べます。例えば、オゾンやフロンが太陽光によって解離する過程、それらの光解離で生成する酸素原子や塩素原子などの反応活性種の反応、また、その二次的な反応過程などです。実験室で、それぞれの反応過程を再現し、反応の速さ、反応生成物の種類や割合、そして反応のエネルギーの行方を測定します。実験室では、太陽光の代わりにレーザーを使用します。反応する活性種や生成物の検出には、最新の技術である真空紫外から赤外までの波長域で波長を自由に変えられるレーザー光を駆使し、高感度な手法を用います。こうして調べられた個々の反応に関する情報は、大気反応のモデリング(計算機シミュレーション)の基礎データとして提供されます。モデリング計算は将来の地球大気環境変動を予測することができるので、環境悪化に対する対策を講じるための手がかりを与えてくれます。しかしながら、正しい基礎データに基づかないモデリングだと、誤った将来予測をしてしまいます。従って、大気環境変動の原因を調べ、それらの反応過程について信頼性の高いデータを得ることは重要な研究です。
 
A大気中窒素酸化物や硫黄酸化物の計測装置の開発
 実験室内で大気反応を調べるだけでなく、実際の大気での微量成分を、計測する新しい装置を独自に開発する研究も行っています。現在は、酸性雨や光化学スモッグの原因とされている窒素酸化物や硫黄酸化物を、高感度に直接計測できる、フィールド用の分析装置の開発研究を進めています。半導体レーザーを光源に用いたレーザー誘起蛍光法(LIF)法という手法を用いることで、高いの検出下限、幅広い濃度測定レンジ、そして、非常に短い時間での測定が可能な高い時間分解能を兼ね備えた物を開発することを目指しています。また、フィールドに持ち出すので、軽量でコンパクトなもの、そして、メンテナンスのしやすい簡便なシステムであることなども大切な要件となります。開発した装置を用いて、東京都心や長崎県福江島での観測を行い、都市大気環境や、大気汚染物質の長距離輸送などについて、調べています。
 
Bエアロゾル化学成分の計測装置の開発と大気観測への応用
 私たちの研究室では、地球大気に存在しているエアロゾルと呼ばれる大変小さな粒子状物質の一個一個をリアルタイムにサンプリングし化学組成を調べる新しい装置の開発にも着手しています。エアロゾルには、私たちにとってもっとも身近な雲や霧、すすや花粉などをはじめとして、工場や火山活動、海や植物に由来するものなど、多くの粒子状物質が含まれます。しかし、その性状や動態は非常に複雑多岐にわたっているため、よく分かっていないことが多いのです。
 私たちの開発しているエアロゾル分析装置は、大気中からサンプリングされたエアロゾル粒子に高出力のパルスレーザーを集光することによって、アブレーションと呼ばれる瞬間的な蒸散現象を起こさせるとともに、イオン化させて、その質量スペクトルを計測するという方法を用います。従来、エアロゾルの化学分析には、フィルターで捕集したエアロゾルを溶媒に溶かし込み、液体クロマトグラフなどによって、調べるという方法が一般的でしたが、この方法では、2つの成分が同じ粒子内に存在している(内部混合)のか、別々の粒子として存在している(外部混合)のか、区別がつきませんでした。また、分析するまでの間に変質する恐れがありました。私たちの装置では、粒子一粒一粒に含まれる化学成分が測定できるので、粒子の混合状態に関する情報が得られ、またフィールドでのリアルタイムな計測が可能で変質の恐れがないという特長があります。私たちは、この装置を、室内実験に応用して、二次有機エアロゾルの生成過程について調べたり、東京都心や離島での実大気観測に応用し、エアロゾルの内部混合状態や、輸送・変質過程について調べています。
 
Cエアロゾル光学特性の室内実験および観測研究
地球大気には、様々な種類の固体や液体の微粒子 (エアロゾル) が存在しています。これらは視程の悪化や健康影響をもたらす大気汚染を引き起こしたり、太陽光を散乱もしくは吸収することにより放射収支を変化させ気候変動に影響を与えたりするなど、大気環境に重大な影響を及ぼします。エアロゾルの放射収支に対する影響は、個々の粒子の光学特性 (放射特性) によって大きく異なります。例えば、硫酸塩エアロゾルは可視・紫外領域で光をほとんど吸収せず、太陽光を散乱することにより大気を冷却します。一方、黒色のスス粒子は光を効率よく吸収し大気を加熱します。近年、二酸化炭素などの温室効果気体の増加による地球の温暖化が問題となっていますが、エアロゾルによる地球大気の冷却や加熱も温室効果気体に比べて無視できない重要な要素の一つと考えられています。そこで、エアロゾルの放射影響を評価するために、大気エアロゾルの光学特性 (消散・散乱・吸収) の詳細な理解が重要となりますが、大気中には多種多様なエアロゾルが様々な混合状態で存在しており、その理解は不十分なのが現状です。私たちの研究室では、キャビティリングダウン分光法(CRDS)と呼ばれるレーザー分光法を用いたエアロゾル光学特性の計測装置を開発し、実大気計測や室内実験に応用しています。
  
D世界初の小型気球を用いた二酸化炭素の高度分布計測装置(CO2ゾンデ)の開発 
 二酸化炭素 (CO2) は、温室効果を持つ気体としてよく知られている一方で、観測サイトが限られているため、地表面での全球的な吸収や放出といったフラックスの地域分布・季節変化はよくわかっていません。またこれらを精度よく評価するためのCO2の高度分布計測も、限られた航空機観測では不十分なのが現状です。そこで、地理的な条件や気象条件にとらわれず、世界中のどこであってもCO2高度分布の計測が可能な手段が必要とされ、小型気球による観測が有効な手段として注目されています。私たちの研究室では、世界初のCO2センサを搭載した小型気球の開発を行っています。装置は気圧の低い上空でも高精度に計測可能であるのはもちろんのこと、安価、軽量、コンパクトであり、十分な時間分解能を持つ装置の開発を目指しています。この気球を用いて、将来的にはオゾンゾンデのように、毎週、世界数100箇所以上でCO2量の計測を行うことで、CO2の放出・吸収マップが飛躍的に緻密化されることが期待されます。また、炭素循環への理解が深まるだけでなく、温室効果気体監視衛星であるGOSATの検証試験にも用いる予定です。
 
Eレーザー分光法を用いた二酸化炭素安定同位体の計測
大気、土壌、生態系を通じた陸域における二酸化炭素(CO2)の循環は、気候変動などの地球環境を考えるうえで重要です。CO2の安定同位体の存在比は、その放出過程によって大きく異なることから、CO2の放出や吸収など循環過程を解明する手法の一つとして、安定同位体が用いられています。従来、安定同位体比の計測は、ガラス容器などにサンプリングした試料ガスを実験室に持ち帰り、前処理を行ったあと同位体質量分析計で分析する手法が用いられていますが、長期間連続的に同位体比を計測することは困難でした。近年、レーザー分光技術の進歩により、CO2の安定同位体比を、レーザー分光法によりリアルタイムに計測することが可能となってきています。私たちの研究室では、4.3ミクロンの赤外吸収を利用したCO2安定同位体(12C16O16O、13C16O16O、12C16O18O)のリアルタイム計測システムを、大気観測や室内実験に応用しています。都市域での観測では、都市大気CO2の起源推定(ガソリン燃焼、天然ガス燃焼、生物呼吸)を行っています。また、森林タワーサイトでCO2同位体の鉛直分布を測定し、植物の呼吸や光合成、土壌呼吸など、生態系が、CO2の吸収や放出に及ぼす影響について調べています。
 
 このように、研究が広い科学・工学の分野にまたがっているので、私たちの研究室のスタッフ・院生には、物理・化学・地球物理などいろいろな分野の出身の人がいます。

4    もっと知りたい方へ
更新日時:
2006/05/03 
 「発表論文、研究の詳細」のページにて、最近の成果について具体的に詳しく解説していますので、松見研究室の研究についてもっとお知りになりたい方はご覧ください。学術論文の掲載リストもあります。
 

5    わかりやすい大気化学と地球環境の話(講演ファイル)
更新日時:
2006/05/03 
お使いのウェブブラウザのアドレス欄に、
http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/ste-www1/div1/matsumi/lecture_a.html
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