名古屋大学太陽地球環境研究所

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「れいめい」衛星の観測とコンピュータシミュレーションによって脈動オーロラの仕組みを実証

瞬くオーロラの謎
小型高機能科学衛星「れいめい」の観測とコンピュータ
シミュレーションによって、脈動するオーロラの仕組みを実証

 三好由純准教授をはじめとする研究グループは、JAXAの小型高機能科学衛星「れいめい」の観測データの分析と、名古屋大学などにおいて実施したコンピュータシミュレーションの結果、「コーラス」と呼ばれる宇宙の電磁波がオーロラを引き起こす電子を変調させることで、脈動オーロラの点滅や瞬きを作りだしていることを実証しました。

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概要】 

 オーロラは、宇宙から降ってくる電子が、高度100km付近の超高層大気と衝突することによって起こる現象です。オーロラには、様々な形態のものがあり、そのなかでも脈動オーロラと呼ばれるオーロラは、ぼんやりとした形状で、図1のように数秒間ごとに点滅するという不思議な性質があります(主脈動)。また、主脈動が光っている間には、1秒間に数回の速さで瞬く(明るさが変化する)ことも知られています(内部変調)。どのようなメカニズムで脈動オーロラの明滅や瞬きが起こるのか、いろいろな説が提唱されていますが、いずれも主脈動と内部変調を統一的に説明することができませんでした。
 本研究所の三好由純准教授らのグループは、脈動オーロラの明滅と瞬きが、「コーラス」と呼ばれる宇宙空間で自然に発生している電波と電子との相互作用によって引き起こされていることを初めて明らかにしました。研究グループは小型高機能科学衛星「れいめい」によって取得されたデータを詳細に分析しました。「れいめい」は世界で最も高い時間分解能でオーロラを光らせる電子を観測することができます。また、コーラスと電子の相互作用についてコンピュータシミュレーションを行い、脈動オーロラの観測結果を再現することに成功しました。
 コーラスは「宇宙のさえずり」とも呼ばれ、音声に変換すると小鳥のような音として聞こえます。コーラスの発生機構は、2016年度に打上げられるジオスペース探査衛星(ERG)によって解明されることが期待されており、本研究の成果は、ERGの科学へとつながる意義も持っています。

 この成果は、米国地球物理学連合の発行する論文誌「ジャーナル オブ ジオフィジカル リサーチ」に、9月29日に掲載されます。

 

【背景】 

 オーロラは、宇宙から降ってくる電子が、高度100km付近の超高層大気と衝突することによって起こる現象です。オーロラには、様々な形態のものがありますが、脈動オーロラと呼ばれるオーロラは、ぼんやりとした形状で、図1のように数秒間ごとに点滅するという不思議な性質があります(主脈動)。また、その脈動オーロラが光っている間には、1秒間に数回の速さで瞬く(明るさが変化する)ことも知られています(内部変調)。主脈動の起源については理解が進んできているものの、主脈動と内部変調を統一的に説明できるアイデアはなく、どのような仕組みで脈動オーロラの明滅や瞬きが起こるのかわかっていませんでした。

 

【研究の内容】 

 本研究所の三好由純准教授らの研究グループは、「れいめい」のデータ解析とコンピュータシミュレーションによって、この脈動するオーロラの主脈動と内部変調のメカニズムを明らかにしました。「れいめい」は、世界で最も高い時間分解能でオーロラを光らせる電子を計測することができます。さらに世界で唯一、オーロラと、そのオーロラを輝かせる電子の同時観測が可能な科学衛星です(図2)。
 本研究では、この「れいめい」の観測データを詳細に分析し、脈動オーロラを光らせている電子にこれまで知られていない性質があることを発見しました。さらに、コーラスと呼ばれる宇宙空間で自然に発生している電波と、電子との相互作用についての計算(コンピュータシミュレーション)を行い、「れいめい」の観測結果を再現することに成功しました(図3)。この研究の結果、コーラスが電子を変調させることで、脈動オーロラの明滅や瞬きを作りだしている統一的な仕組みを明らかにしました(図4)。

 

【成果の意義】 

 コーラスという宇宙空間の電波は、音声に変換すると小鳥の声のように聞こえることから、宇宙のさえずりとも呼ばれます。本研究は、この宇宙のさえずりが、脈動オーロラの明滅や瞬きを引き起こしていることを実証したものです。このコーラスが発生するのは、高度数万km上空の宇宙空間であると考えられています。2016年度に打上げが予定されているJAXAのジオスペース探査衛星(ERG)には、このコーラスが発生する様子を世界で初めて直接観測するための新型の装置が搭載されており、脈動オーロラの起源である宇宙のさえずり(コーラス)の性質が解明されることが期待されています。

 

【論文名】

題目: Relation between energy spectra of pulsating aurora electrons and frequency spectra of whistler-mode chorus waves
著者:三好由純(名古屋大学)、齋藤慎司(名古屋大学)、関華奈子(名古屋大学)、西山尚典(国立極地研究所)、片岡龍峰(国立極地研究所)、浅村和史(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、加藤雄人(東北大学)、海老原祐輔(京都大学)、坂野井健(東北大学)、平原聖文(名古屋大学)、大山伸一郎(名古屋大学)、栗田怜(名古屋大学)、O. Santolik(チェコ科学アカデミー)
掲載誌:米国地球物理学連合速報誌:Journal of Geophysical Research (オンライン)に2015年9月29日に掲載。

図1:脈動オーロラ:
    数秒に1回、明滅するオーロラ。オーロラが明るく光っている時間に、さらに1秒間に数回の瞬き(明るさの変化)があることが知られている。
     2007年10月18日に「れいめい」によって観測された脈動オーロラ
             (左)11:35:21秒、(右)11:35:24秒

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図2:「れいめい」による観測の模式図。高度620kmから、高度100km付近で光っているオーロラを連続観測するとともに、そのオーロラを光らせている電子を40ミリ秒ごとに観測する。

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図3:「れいめい」が観測した明滅オーロラを起こす電子の分布と、コンピュータシミュレーション。
   観測された脈動オーロラ電子の分布を、コンピュータシミュレーションで再現しました。

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図4:本研究によって明らかになった、脈動オーロラの明滅と瞬きの仕組み

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