名古屋大学太陽地球環境研究所

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太陽地球圏環境予測に関する緊急ワークショップ ~3月17日の宇宙嵐を我々は予測できたか?~を開催

  本年3月17~18日に強い磁気嵐が発生し、世界各地で激しいオーロラと共に地球の高層大気や宇宙空間を乱す様々な現象が観測されました。この磁気嵐に伴い、11年ぶりに北海道でもオーロラが観測されています註1。 この磁気嵐は同15日に発生した小型の太陽フレアを原因として発生したと考えられていますが、磁気嵐の強度と到達時間について世界の5局の宇宙天気予報は いずれも正確に予報できませんでした。そこで、この宇宙嵐に焦点を当て、「なぜ今回の"宇宙嵐"を正確に予測できなかったのか?」を太陽・太陽風・地球電 磁気圏及び宇宙天気予報の専門家が一堂に会して徹底的に議論するための緊急ワークショップを4月21日に名古屋大学にて開催しました。
  この緊急ワークショップでは2つの観点
    観点1:現代の観測に基づいて今回の宇宙嵐を本来予測できたか?
    観点2:より正確かつ長期の予測のためにさらに何が必要か?
から、太陽・太陽風・地球近傍宇宙の変動予測について下記のプログラムを基に検討しました。その結果、1.宇宙天気予報の現象と課題、2.太陽面爆発の発 生予測、3.太陽面爆発の観測に基づく地球近傍の太陽風と惑星間空間磁場の擾乱予測、4.地球に到達する直前の太陽風観測データに基づく宇宙嵐の予測、に ついて以下のような活発な議論が展開されました。

  • 宇宙嵐の予測のためには地球に到達する太陽風と惑星間磁場の強度と方向の正確な予測を行う必要がある。一方、それらを予測することができれば磁気嵐の正確な予測は可能である。
  • 今回の宇宙嵐を引き起こした惑星間磁場は地球に到達する過程で強化された可能性がある。太陽面の精密な磁場と太陽風の観測データから惑星間磁場の予測を行うための精密なモデルを開発する必要がある。
  • 今回の宇宙嵐の起源となった太陽面爆発の発生領域には局所的な磁気エネルギーの蓄積が確かに認められた。これは太陽面爆発の正確な発生予測を精密な太陽面磁場観測から行える可能性を示唆している。

  さらに、この緊急ワークショップでは、上記の議論を基に将来起きると考えられている極めて大きな宇宙嵐による地球規模の激甚宇宙天気災害に備えるため の社会基盤の構築についても議論を行い、天文学・太陽物理学・地球電磁気学・衛星工学・システム工学・予測数理科学など様々な分野を横断した新しい学術研 究ネットワークを組織する必要性が確認されました。

  なお、本緊急ワークショップについては読売新聞(2015年3月15日夕刊)、中日新聞(2015年4月20日夕刊)でも取り上げられ、広く報道されました。

 本緊急ワークショップに関するお問い合わせは以下にご連絡ください。

 太陽地球圏環境予測に関する緊急ワークショップ 企画委員会
 代表 草野完也(名古屋大学太陽地球環境研究所)
 kusano@nagoya-u.jp

プログラム

太陽地球圏環境予測に関する緊急ワークショップ
~3月17日の宇宙嵐を我々は予測できたか?~

日 時: 2015年4月21日
会 場:名古屋大学ESホール

13:00-13:05 はじめに:   草野完也 (名古屋大学)
13:05-13:20 各国の予報と社会影響:   石井守 (NICT)
13:20-13:40 太陽活動領域の磁場構造とフレアトリガ:   1 伴場由美
2 井上諭
(名古屋大学)
13:40-


14:00
太陽フレアの観測結果:
衛星観測、地上光学観測

電波観測 
 
1 浅井歩
2 花岡庸一郎
3 久保勇樹

(京都大学)
(国立天文台)
(NICT)
14:00-



14:30
太陽風とCME:
1 衛星観測とモデル計算

2 IPS観測
 
八代誠司
塩田大幸
徳丸宗利
伊集朝哉

(CUA/NASA)
(名古屋大学)
(名古屋大学)
(名古屋大学)
14:30-14:40 ~休憩~      
14:40-15:00 太陽風パラメタと地磁気変動:   1 片岡龍峰
2 上出洋介
(極地研)
(名古屋大学)
15:00-15:10 地磁気変動・GIC:   海老原祐輔
(代読:三好由純)
(京都大学)
15:10-15:30 電離圏・熱圏変動:   1 塩川和夫
2 西谷望
(名古屋大学)
15:30-15:40 宇宙放射線(放射線帯電子・SEP):   三好由純
簑島敬
(名古屋大学)
(JAMSTEC)
15:40-16:30 総合討論~正確な予測のために何をすべきか?~      


註1 陸別観測所で11年ぶりに観測された低緯度オーロラの報告
http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/jpn/topics/2015/03/aurora201503.php

緊急ワークショップの様子

 
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2015年3月17日の磁気嵐の原因となったコロナ質量放出(CME)のSOHO衛星による観測像。中央の白い円が太陽に対応し、その上から右に広がる淡 い楕円状の弧が太陽から放出されたCME。(Courtesy of SOHO/NASA & ESA)

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